きらてん!~歌い手とバレて、学校イチのモテメンに告白されました~


 『昼休み行くからいつものとこに居て』
 萌のスマホのメッセージアプリの画面には、朝煌輝から入ってきたメッセージが表示されている。
 数日後の昼休み、萌は弁当を持って屋上へと続く階段の中ほどに座っていた。
 もう逃げる必要もなかった萌は翌日から教室で弁当を食べようとしていたのだが、煌輝がそんな萌に話しかけると、教室にいた全員の視線がこちらに向いたような気がして、落ち着かなく、結局萌はその日もここに来ていた。
 この先は屋上しかないので近寄る生徒も居ないし、日陰になっているので教室よりも少しだけ涼しい気もする。良い場所だなと思っていると、スマホがわずかに震えた。
『今行くから待ってて』
 煌輝は友達が多く、女子生徒に囲まれていることも少なくないから、そう簡単にはその包囲網から抜けられないのだろう。時間がかかっても一人で萌のところに来てくれるのだと思うと萌の頬は少し緩む。
『急がなくても待ってるよ』
 そう返信してから、萌はスマホの画面をスクロールした。
 先日保健室で連絡先を交換してから、煌輝とのメッセージのやりとりが続いている。初めは、今何してる? という煌輝の問いかけがあり、萌がそれに買ったばかりの『ウザい』のスタンプを送った。その後送られてきた悲しそうな顔の犬のスタンプがちょっと煌輝に似ている気がして、萌は今見てもくすりと笑ってしまう。
 本当に他愛ない意味のないメッセージだけど、ひとつ送る度に煌輝が知れるような気がしてこういうやり取りも悪くないと思えた。萌と同じ、歌が好きという煌輝とならいい友達になれるかもしれない。
「お待たせ、天羽」
 きゅきゅっ、という廊下と靴の擦れる音と共に姿を見せた煌輝が、階段を二段飛ばしで駆けあがる。肩が上下するほど息を切らせた煌輝が萌の隣に腰を下ろした。
「走ってきた?」
「昼休みって短いから、天羽と話す時間取りたくて……てか、今日は大事な確認をしたくて」
「確認?」
 萌が首を傾げると、煌輝は、うん、と頷いた。
 何度か大きく呼吸を繰り返してからスマホを取り出す。萌はその間、黙って煌輝を見ていた。蝉の声が大きく響いている。
 煌輝はスマホの画面に触れていた指を止め、こちらに差し出した。
「これ、天羽だよね?」