「あー、俺ちょっとのぼせてきたかも。半身浴にしとこ」
しばらくして、熱さに耐えきれなくなったコウが湯船の縁に腰掛け、冷たい外気で体を冷まし始めた。
「僕はもう少し入っています。……せっかくですし、芯までしっかり温めておきたくて」
純太はそう言って、さらに首のギリギリまでお湯に沈み込んだ。確かに、あの村で数年間も冷え切っていた体を思えば、温かいお湯にずっと浸かっていたい気持ちもわかる。コウは「無理すんなよ」と笑いながら、純太の気の済むまで付き合うことにした。
しかし、それが落とし穴だった。
「……そろそろ、僕も上がりますね」
それから十数分後。すっかり茹でダコのように顔を真っ赤にした純太が、ザバッと湯船から立ち上がった、その瞬間だった。
「あ……」
純太の視界が急激にぐにゃりと歪み、足元の岩場がグラグラと揺れた。長風呂で完全にのぼせてしまい、立ちくらみを起こしたのだ。
「っ、危ない!!」
ガクンと膝から崩れ落ちそうになった純太を、縁に座っていたコウが咄嗟に両腕でガシッと抱きとめる。
「先生!? 大丈夫か!?」
「う、ん……ちょっと、目が回って……」
純太はコウの胸に力なくもたれかかり、浅い呼吸を繰り返している。コウは慌てて純太の体を支えながら、露天風呂から脱衣所へと急いで駆け込んだ。
「とりあえず、ここに座って! 今水持ってくるから!」
脱衣所のベンチに純太を座らせ、バスタオルでサッと体を拭いて浴衣を羽織らせる。
コウが慌ててウォーターサーバーの水を紙コップに汲んで戻ってくると、純太は乱れた浴衣の襟元を直す気力もないのか、だらしなくはだけさせたままベンチにぐったりと寄りかかっていた。
「ほら、水。飲める?」
「……ありがとう、ございます……」
純太はコウの手から紙コップを受け取ると、少しだけ口をつけて喉を潤した。
コウは純太の隣に座り、心配そうにその顔を覗き込んだ。純太の頬はのぼせて異常なほど赤く染まり、額や首筋からは玉のような汗が滲み出ている。
純太がふらりと体を傾け、コウの肩にコトリと頭を預けてきた。
「えっ、先生……?」
「……コウ、君……」
純太の口から、甘く熱い吐息が漏れる。それがコウの首筋をくすぐり、背筋にゾクッとするような電流が走った。
普段の生真面目な純太なら、人前でこんな無防備にだらしない姿を見せることは絶対にない。しかし、今はのぼせて頭がぼんやりしているせいか、それともコウへの絶対的な安心感のせいか、完全に警戒心を解いて甘えきっていた。
はだけた浴衣の胸元からは、熱を帯びて上気した白い肌が露わになり、艶っぽい色気を放っている。
「ちょ、先生……あんま、くっつくと……」
コウがドギマギして視線を泳がせていると、純太はすりすりと猫のようにコウの肩に頬を擦り付けた。
「……ごめんなさい。君の体温……すごく気持ちいいです……。もう少しだけ、このままで……」
熱に浮かされたようにトロンとした目でコウを見上げ、ぎゅっとその腕にしがみついてくる。
(……っ、マジで反則だろ、これ)
「……のぼせが引くまでだからな。絶対、動くなよ」
コウは必死で理性を総動員しながら、純太の熱い体をゆっくりと抱き寄せた。純太の首元に顔を埋めると、シャンプーの香りと共に、甘い匂いがした。
しばらくして、熱さに耐えきれなくなったコウが湯船の縁に腰掛け、冷たい外気で体を冷まし始めた。
「僕はもう少し入っています。……せっかくですし、芯までしっかり温めておきたくて」
純太はそう言って、さらに首のギリギリまでお湯に沈み込んだ。確かに、あの村で数年間も冷え切っていた体を思えば、温かいお湯にずっと浸かっていたい気持ちもわかる。コウは「無理すんなよ」と笑いながら、純太の気の済むまで付き合うことにした。
しかし、それが落とし穴だった。
「……そろそろ、僕も上がりますね」
それから十数分後。すっかり茹でダコのように顔を真っ赤にした純太が、ザバッと湯船から立ち上がった、その瞬間だった。
「あ……」
純太の視界が急激にぐにゃりと歪み、足元の岩場がグラグラと揺れた。長風呂で完全にのぼせてしまい、立ちくらみを起こしたのだ。
「っ、危ない!!」
ガクンと膝から崩れ落ちそうになった純太を、縁に座っていたコウが咄嗟に両腕でガシッと抱きとめる。
「先生!? 大丈夫か!?」
「う、ん……ちょっと、目が回って……」
純太はコウの胸に力なくもたれかかり、浅い呼吸を繰り返している。コウは慌てて純太の体を支えながら、露天風呂から脱衣所へと急いで駆け込んだ。
「とりあえず、ここに座って! 今水持ってくるから!」
脱衣所のベンチに純太を座らせ、バスタオルでサッと体を拭いて浴衣を羽織らせる。
コウが慌ててウォーターサーバーの水を紙コップに汲んで戻ってくると、純太は乱れた浴衣の襟元を直す気力もないのか、だらしなくはだけさせたままベンチにぐったりと寄りかかっていた。
「ほら、水。飲める?」
「……ありがとう、ございます……」
純太はコウの手から紙コップを受け取ると、少しだけ口をつけて喉を潤した。
コウは純太の隣に座り、心配そうにその顔を覗き込んだ。純太の頬はのぼせて異常なほど赤く染まり、額や首筋からは玉のような汗が滲み出ている。
純太がふらりと体を傾け、コウの肩にコトリと頭を預けてきた。
「えっ、先生……?」
「……コウ、君……」
純太の口から、甘く熱い吐息が漏れる。それがコウの首筋をくすぐり、背筋にゾクッとするような電流が走った。
普段の生真面目な純太なら、人前でこんな無防備にだらしない姿を見せることは絶対にない。しかし、今はのぼせて頭がぼんやりしているせいか、それともコウへの絶対的な安心感のせいか、完全に警戒心を解いて甘えきっていた。
はだけた浴衣の胸元からは、熱を帯びて上気した白い肌が露わになり、艶っぽい色気を放っている。
「ちょ、先生……あんま、くっつくと……」
コウがドギマギして視線を泳がせていると、純太はすりすりと猫のようにコウの肩に頬を擦り付けた。
「……ごめんなさい。君の体温……すごく気持ちいいです……。もう少しだけ、このままで……」
熱に浮かされたようにトロンとした目でコウを見上げ、ぎゅっとその腕にしがみついてくる。
(……っ、マジで反則だろ、これ)
「……のぼせが引くまでだからな。絶対、動くなよ」
コウは必死で理性を総動員しながら、純太の熱い体をゆっくりと抱き寄せた。純太の首元に顔を埋めると、シャンプーの香りと共に、甘い匂いがした。
