君の体温が欲しくて

純太の安全運転の甲斐もあって、レンタカーは無事に新潟の温泉宿へと到着した。
木造りの重厚な門構えをくぐり、案内されたのは最上階の角部屋。障子を開けると、そこには一面の銀世界と、遠くに荒々しい日本海を見渡す絶景が広がっていた。

「うわっ、すげー! 景色めっちゃいいじゃん!」
コウは荷物を置くのもそこそこに、窓際に駆け寄ってガラスに額を押し当てた。
「ふふ、喜んでもらえてよかったです。この宿、ご飯も温泉も評判がすごくいいんですよ」
純太も満足げに微笑みながら、コウの隣に並んで外の景色を眺めた。

空からは、音もなく深々と雪が降り続いている。
暖房がしっかりと効き、い草の香りがするこの温かい部屋から見る雪は、ただただ静かで、美しい。
自分たちはもう、あの冷たい雪に怯える必要はないのだ。その事実が、二人の心をホッと解きほぐしていった。