「嘘だろ、先生。マジで運転できんの!?」
大晦日の午前。雲一つない冬晴れの東京。
駅前のレンタカーショップから出てきた純太の手に光る車の鍵を見て、コウは目を丸くして素っ頓狂な声を上げた。
「失礼ですね。これでもちゃんとゴールド免許ですよ」
純太は少し得意げに胸を張り、マフラーの襟元を正した。
「クリスマスの時は、僕のどんくささのせいで君に散々な思いをさせてしまいましたから……。今回は名誉挽回として、僕が目的地まで完璧にエスコートしてみせます」
あの日、ディナーの予約を1ヶ月間違えるという大失態を演じた純太だったが、今回はリベンジに燃えていた。行き先は、雪深くも温泉と海鮮が有名な新潟。新幹線で行くこともできたが、純太はあえてレンタカーを借りて、コウとの二人きりの空間を楽しむドライブ旅行を企画したのだ。
「いや、運転できるのはすげーけどさ……。いつ免許なんか取ったの?」
「僕が普通の大学生として過ごしていた、春から秋の間のどこかでしょうね。記憶はありませんが、財布の中にちゃんと免許証が入っていましたし、ペーパードライバー講習もこっそり受けて感覚は取り戻してきましたから、安心してください」
記憶がない期間に取得していた資格に頼るのは少し不思議な感覚だったが、村の呪いから解放された今となっては、それすらも「自分の歩んできた確かな人生の痕跡」として前向きに受け止められるようになっていた。
「へえ……先生が運転する車に乗れるなんて、なんかめっちゃ新鮮」
「さあ、乗ってください。エスコートしますよ」
純太が助手席のドアを開け、コウを促す。コウは少し照れくさそうに笑いながら、レンタカーのシートに深く腰を下ろした。
ナビに目的地をセットし、エンジンをかける。ブルルン、という低い駆動音と共に、車内には心地よい暖房の風が吹き込み始めた。
「それじゃあ、出発します」
純太の宣言とともに、車は滑らかに東京の街へと走り出した。
大晦日の午前。雲一つない冬晴れの東京。
駅前のレンタカーショップから出てきた純太の手に光る車の鍵を見て、コウは目を丸くして素っ頓狂な声を上げた。
「失礼ですね。これでもちゃんとゴールド免許ですよ」
純太は少し得意げに胸を張り、マフラーの襟元を正した。
「クリスマスの時は、僕のどんくささのせいで君に散々な思いをさせてしまいましたから……。今回は名誉挽回として、僕が目的地まで完璧にエスコートしてみせます」
あの日、ディナーの予約を1ヶ月間違えるという大失態を演じた純太だったが、今回はリベンジに燃えていた。行き先は、雪深くも温泉と海鮮が有名な新潟。新幹線で行くこともできたが、純太はあえてレンタカーを借りて、コウとの二人きりの空間を楽しむドライブ旅行を企画したのだ。
「いや、運転できるのはすげーけどさ……。いつ免許なんか取ったの?」
「僕が普通の大学生として過ごしていた、春から秋の間のどこかでしょうね。記憶はありませんが、財布の中にちゃんと免許証が入っていましたし、ペーパードライバー講習もこっそり受けて感覚は取り戻してきましたから、安心してください」
記憶がない期間に取得していた資格に頼るのは少し不思議な感覚だったが、村の呪いから解放された今となっては、それすらも「自分の歩んできた確かな人生の痕跡」として前向きに受け止められるようになっていた。
「へえ……先生が運転する車に乗れるなんて、なんかめっちゃ新鮮」
「さあ、乗ってください。エスコートしますよ」
純太が助手席のドアを開け、コウを促す。コウは少し照れくさそうに笑いながら、レンタカーのシートに深く腰を下ろした。
ナビに目的地をセットし、エンジンをかける。ブルルン、という低い駆動音と共に、車内には心地よい暖房の風が吹き込み始めた。
「それじゃあ、出発します」
純太の宣言とともに、車は滑らかに東京の街へと走り出した。
