君の体温が欲しくて

アパートに帰り着いた二人は、こたつに潜り込み、コンビニで買い込んだフライドチキンと小さなショートケーキでささやかなクリスマスパーティーを開いた。
高級レストランのフルコースには遠く及ばないジャンクなメニューだったが、肩を寄せ合い、他愛のない冗談を交わしながら食べるその味は、どんな星付きの料理よりも温かく、二人の心を満たしてくれた。

食後の紙皿を片付け、一息ついた時のことだ。

純太は少しもじもじと落ち着かない様子で視線を泳がせた後、こたつの横に置いていた鞄から、綺麗にラッピングされた箱を取り出した。

「……ディナーは失敗してしまいましたが、せめてこれを受け取ってください」

少し自信なさげに差し出された箱を、コウは目を丸くして受け取る。
「えっ、俺に? まじで?」
「はい。開けてみてください」

期待に胸を膨らませてリボンを解き、箱を開けると、そこには肌触りの良い上質な手袋と、厚手のマフラーのセットが入っていた。

「これ……」
「あの理科準備室で、君が僕に大量のカイロを貼ってくれましたよね」

純太は少し恥ずかしそうに俯き、言葉を探すようにぽつりぽつりと語り始めた。

「あの時は冷たく突き放すような態度をとってしまいましたが……本当は、すごく、嬉しかったんです。君のその真っ直ぐな温かさに、どれだけ救われたか」
「先生……」
「だから、これからは。……僕が、君を温めます」

言い終えると同時に、純太は耳の先まで真っ赤に染め上げ、「……なんて、少しキザだったでしょうか」とたまらず視線を逸らした。

そのあまりにも不器用で、健気で、愛に溢れた言葉と表情に。
コウの中で、愛おしさのメーターが限界を突破して完全に振り切れた。

「っ……先生!!」
「わっ!?」

コウは箱からマフラーを引っ張り出すと、それを純太と自分の首にぐるりと巻きつけるようにして、こたつ越しに純太の体を強く、強く抱きしめた。

「コ、コウ君……苦しいです、それにマフラーが……」
「……ありがとう、先生。俺の人生で、一番最高のクリスマスだよ」

首元に顔を埋め、心の底から幸せそうに囁くコウの声に、純太の腕からもふっと力が抜け、ゆっくりとコウの背中に腕を回した。

マフラーに包み込まれた密着した胸の奥から、ドクン、ドクンと、生きた人間としての力強く温かな鼓動が重なり合って聞こえてくる。

静かに見つめ合い、二人はゆっくりと顔を近づけた。
重なり合った唇は、あの理科準備室の時のように、熱を奪い去るような凍える冷たさではなかった。互いの体温を分け合い、溶かし合うような、どこまでも甘く柔らかな感触だった。

窓の外では冷たい冬の風が吹いていたが、こたつの中で身を寄せる二人にもう寒さは届かない。
こうして、奇跡のように温かで平和な、二人だけの冬の夜が静かに更けていった――。