憧れの教育実習生に、脈がない!?

――ジリリリリッ!

黒電話がけたたましく鳴り響いた。
ビクッと肩を揺らしたコウの前で、祖母がゆっくりと立ち上がり、受話器を取る。

「はい……ああ、あんたかいな。……ああ、コウなら元気にしとるよ。……東京? あかんあかん。この子は村から一歩も出さへんよ」

母からの電話だと気づき、コウは弾かれたように立ち上がった。

「ばあちゃん、代わって! 俺、母さんと話が……」
「……よそ者は、あかん」

コウの声を無視し、祖母は突如として地の底から這い出るような低い声で呟いた。

「え?」
「よそ者は悪いんや。村に災いを呼ぶ。この村の神様に、ええ血ぃ……ええ血ぃを捧げな……」
「ばあちゃん、何言ってんだよ! 早く電話……っ」

ガチャン。

祖母は有無を言わさず、力任せに受話器を叩きつけて電話を切ってしまった。

「なんで切るんだよ! 久しぶりの母さんからの電話なのに!」

コウの怒りが爆発した。もう限界だった。
「……ごちそうさま。俺、出かけるから」

吐き捨てるように言い、乱暴に席を立とうとした――その瞬間。

「コウ、お座り!!」

ビクン、とコウの体が硬直した。
普段のおっとりとした祖母からは想像もつかない、耳をつんざくような鋭い怒声。それと同時に、祖母が信じられないほどの力でコウの肩を掴み、無理やり座布団の上に引きずり戻した。

「ばあ……ちゃん……?」
「ええ血ぃ……作らな」

祖母は焦点の合わない不気味な笑みを浮かべたまま、箸でこんもりと掴んだレバニラ炒めを、コウの口元へと無理やり押し付けてきた。

「んぐっ……!? ちょ、やめ……っ!」

強烈な鉄の匂いと油の味が、無理やり口の中にねじ込まれる。
「食べなさい、食べなさい」と繰り返す祖母の狂気に触れ、コウは恐怖で全身に鳥肌が立った。

「……っ!!」

コウは力任せに祖母の手を振り払うと、口の中のものを吐き出しながら、逃げるように茶の間を飛び出した。玄関で靴をひっかけると、コートも羽織らずに夜の雪道へと駆け出した。