「おしまい」
パタン、と純太がゆっくりと絵本を閉じると、給食を食べていた小学生たちは、しんと静まり返っていた。
「……先生」
教室の前の席に座っていた一人の男の子が、ぽつりと声を上げた。
「この旅人の男の人、かわいそう。どうして『よそ者』っていうだけで、神様のプレゼントにされなきゃいけなかったの? なにも悪いことしてないのに……」
子供の純粋な疑問は、この村のいびつな掟の核心を突いていた。
純太は膝の上の絵本を見つめ、静かに口を開きかけた。
「それは……」
「それはね、村のみんなを守るためだよ」
純太の言葉を遮るように、教室の入り口から声が響いた。
いつの間にかそこに立っていたのは、校長だった。ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべながら、ゆっくりと教壇へ歩み寄ってくる。
「いいかい、みんな。この村はずっと昔から、外から来た『よそ者』のせいで病気が流行ったり、悪いことが起きたりしてきたんだ。だから、よそ者は村に災いをもたらす『悪いもの』なんだよ」
「よそ者は……悪いもの?」
「そう。神様はね、村を綺麗にするために、その『悪いよそ者』を欲しがっているんだ。だから、よそ者を信じてはいけない。村の決まりを守らないと、サヨという女の子のように、悲しい思いをすることになる」
校長は子供たちの顔を一人一人覗き込み、あの異常なまでに厳重に管理された『牛乳』の瓶を指さした。
「さあ、お昼の牛乳をしっかり残さず飲んで。」
「……はい、校長先生」
子供たちはゴクリ、ゴクリと牛乳を喉に流し込む。すると、先ほどまで「旅人がかわいそう」と言っていた男の子も含め、教室中の子供たちの瞳から、すっと感情の色が抜け落ちていった。
「よそ者は、悪いもの。よそ者を、信じちゃいけない……」
「よそ者は、悪いもの……」
子供たちはうわ言のように繰り返し続けた。
パタン、と純太がゆっくりと絵本を閉じると、給食を食べていた小学生たちは、しんと静まり返っていた。
「……先生」
教室の前の席に座っていた一人の男の子が、ぽつりと声を上げた。
「この旅人の男の人、かわいそう。どうして『よそ者』っていうだけで、神様のプレゼントにされなきゃいけなかったの? なにも悪いことしてないのに……」
子供の純粋な疑問は、この村のいびつな掟の核心を突いていた。
純太は膝の上の絵本を見つめ、静かに口を開きかけた。
「それは……」
「それはね、村のみんなを守るためだよ」
純太の言葉を遮るように、教室の入り口から声が響いた。
いつの間にかそこに立っていたのは、校長だった。ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべながら、ゆっくりと教壇へ歩み寄ってくる。
「いいかい、みんな。この村はずっと昔から、外から来た『よそ者』のせいで病気が流行ったり、悪いことが起きたりしてきたんだ。だから、よそ者は村に災いをもたらす『悪いもの』なんだよ」
「よそ者は……悪いもの?」
「そう。神様はね、村を綺麗にするために、その『悪いよそ者』を欲しがっているんだ。だから、よそ者を信じてはいけない。村の決まりを守らないと、サヨという女の子のように、悲しい思いをすることになる」
校長は子供たちの顔を一人一人覗き込み、あの異常なまでに厳重に管理された『牛乳』の瓶を指さした。
「さあ、お昼の牛乳をしっかり残さず飲んで。」
「……はい、校長先生」
子供たちはゴクリ、ゴクリと牛乳を喉に流し込む。すると、先ほどまで「旅人がかわいそう」と言っていた男の子も含め、教室中の子供たちの瞳から、すっと感情の色が抜け落ちていった。
「よそ者は、悪いもの。よそ者を、信じちゃいけない……」
「よそ者は、悪いもの……」
子供たちはうわ言のように繰り返し続けた。
