憧れの教育実習生に、脈がない!?

むかしむかし、雪深いある村に、サヨという心優しい少女が住んでいました。

ある年の冬のことです。ふらりと村を訪れた旅の青年を、サヨは快く家に招き入れました。ふたりは一緒に寒い冬を過ごすうち、やがて深く愛し合うようになりました。

しかし、この村には恐ろしい掟がありました。厳しい冬の寒さを鎮めるため、年に一度、よそから来た者を「山の神様への贈り物」として捧げるしきたりがあったのです。

そのことを知っていたサヨは、愛する青年を救うため、吹雪の夜にこっそりと彼を村から逃がそうとしました。しかし、そのせいで神様への大切なお祭りは失敗してしまいました。

贈り物を逃された神様はたいそうお怒りになり、青年に最も残酷で恐ろしい呪いをかけました。

それは――「誰からも忘れ去られる呪い」でした。

村の人たちはもちろん、あんなに愛し合っていたサヨでさえも、青年の顔も、名前も、ともに過ごした思い出も、すっかり忘れてしまったのです。

「サヨ……、どうか私を思い出してくれ……」

愛する人にまで忘れられ、行き場を失った青年は、深い悲しみと絶望の中、冷たい雪に埋もれてひとり寂しく息を引き取りました。

……それからというもの。
この村では、冬の雪降る夜になると、今でも行き場のない青年の亡霊が、雪の中をさまよっているそうです。