憧れの教育実習生に、脈がない!?

翌朝。窓の隙間から差し込む眩しい冬の朝日で、コウは目を覚ました。
昨夜あんなに荒れ狂っていた吹雪は嘘のように止み、外はどこまでも透き通るような青空が広がっている。

「おはようございます、コウ君。よく眠れましたか?」

すでに身支度を整え、ワイシャツ姿の純太が台所から戻ってきたところだった。

コウは布団から這い出しながら、昨晩の出来事を思い出してニヤリと笑った。

「おはよう、先生。ねえ、ちょっとこっち来てよ」
「なんですか?」

純太が怪訝な顔で近づいてきた瞬間、コウは純太の顎の下を指でコチョコチョと撫でてみた。あわよくば、昨日のように喉を鳴らして擦り寄ってくる可愛い姿をもう一度見られるかもしれないと期待して。

「……何をしているんですか?」
「ほら、昨日の続き。にゃーって言っていいよ?」
「寝ぼけているなら、外の雪で頭を冷やしてきなさい」

ピシャリ。
冷ややかな視線で見下ろされ、手首をパシッと払われたコウは「ちぇっ」と唇を尖らせた。

「先生、昨日の夜のこと覚えてないの? ホットミルク飲んだ後、俺の腕の中でめちゃくちゃ甘えて……」
「変な夢でも見たんじゃないですか? 僕はミルクを飲んで……気づいたら朝でしたから」

純太は心底呆れたようにため息をつき、首元にネクタイを締める。どうやら本当に、眠りにつく直前の記憶がすっぽりと抜け落ちているらしい。
機嫌を損ねた純太を見て、それ以上追及するのはやめておいた。

「そういえば先生、今日俺らのクラスで授業ないっけ?」

コウが自分の制服に着替えながら尋ねると、純太はコートを羽織りながら首を振った。

「ええ。今日は高校での授業はありません。これから隣の小学校へ行って、低学年のクラスで授業と……給食の時間に、絵本の読み聞かせをすることになっています」
「読み聞かせ?」

コウは目を丸くした。この村は過疎化が進んでおり、小・中・高が同じ敷地内に固まっているため、教師が掛け持ちすることも珍しくはないが。

「小学生から高校生まで相手にするなんて、実習生なのにこき使われすぎだろ。マジで大変だな」
「村の学校ですから、人手が足りないんですよ。それに、僕は子供たちと接するのは嫌いじゃありませんから」

純太は淡々と答え、鞄を手に取った。