憧れの教育実習生に、脈がない!?

今度はコウが、純太の背中側にぴったりとくっつくようにして寝転がる。冷え切った純太の背中に腕を回し、後ろからギュッと抱きしめた。純太の体はビクッと跳ねたが、今度は振り払おうとはしなかった。

「……先生、猫になればいいのに」

コウは純太の背中に額を擦り付けながら、ぽつりと呟いた。

「……猫、ですか? いきなり何を」
「だって、猫って基本はツンツンしてて冷たいけど、自分が甘えたい時だけはすり寄ってくるじゃん。先生甘えるの下手だから。」

純太が呆れたように小さく息を吐くのがわかったが、コウは構わず面白がって続けた。

「ほら、猫になれ。猫になれー。にゃーって言ってみてよ、先生」

冗談めかして耳元で囁き続ける。純太は「いい加減にしてください、子供じゃあるまいし」とあしらうはずだった。

――にゃー。

「え?」

純太の頭が、突然コウの胸元に擦り寄ってきた。
それだけではない。純太は寝返りを打ってコウの方を向くと、コウの腕の中にすっぽりと収まり、「んん……」と、まるで喉を鳴らすような甘い吐息を漏らして、すりすりと頬を擦り付けてきたのだ。

「えっ……ちょ、先生!?」

ツンケンしていた態度はどこへやら、完全に飼い主に甘える猫そのものの挙動に、コウの心臓が限界を突破して跳ね上がる。
耐えきれなくなったコウは、「うわぁっ!」と奇声を上げて布団から飛び出した。顔から火が出るほど熱い。

「な、なんだよ急に! 」

バクバクと五月蝿い胸を押さえながら、暗闇の中で布団の中の純太を凝視する。
しかし、純太からの返事はない。
恐る恐る覗き込んでみると、純太はスースーと静かな寝息を立てて、完全に熟睡していた。

(……無意識かよ!)

結局、コウはその晩もなかなか寝付くことができなかった。