憧れの教育実習生に、脈がない!?

翌日。昨晩からの雪がすっかり積もり、村は分厚い銀世界に覆われていた。
コウはまた家にいるのが耐えられず、気づけば再び、あの隙間風の吹く純太のあばら家へと足を向けていた。

「コウ君? 今日も迷子ですか」

驚きながらも、純太は柔らかく微笑んでコウを迎え入れてくれた。
庭先に積もった真っ白な雪を見て、コウはふと目を輝かせる。

「東京じゃ、雪がこんなに積もることなんて滅多にないんですよね。……先生、雪だるま作りましょうよ。どっちが上手く作れるか勝負です!」
「僕と勝負ですか? いいでしょう、大学生を甘く見ないでくださいよ」

純太が苦笑交じりに応じ、二人は膝まで埋まるような雪の中へ飛び出した。
それぞれの陣地に分かれて雪を転がし始める。コウは手際よく雪玉を重ね、拾ってきた木の枝や石を使って、それなりに見栄えのする王道の雪だるまを完成させた。

「よし、俺のは完璧。先生の方はどう……ぶっ!」

自信満々で振り返ったコウだったが、純太の作った雪だるまを見た瞬間、盛大に吹き出した。
純太の雪だるまは、頭と胴体のバランスが致命的に悪く、顔のパーツとして埋め込まれた石の配置も絶妙に歪んでいて、なんとも言えない奇妙で情けない表情を浮かべていたのだ。

「あはははっ! なにこれ、先生! 」
「おかしいですね……。頭の中の設計図では完璧だったんですが」
「先生、マジで不器用すぎ!」

お腹を抱えて笑い転げるコウに、純太は「雪だるまを作るのは初めてなんですから、仕方ないでしょう」と少しむくれてみせたが、その横顔は釣られて楽しそうに微笑んでいた。