憧れの教育実習生に、脈がない!?

1年前の冬。

「今日から二週間、皆さんのクラスで教育実習を担当することになりました、黒島純太です。至らない点も多いかと思いますが、よろしくお願いします」

緊張を隠すように柔らかい笑みを浮かべて挨拶をすると、クラスの生徒たちは珍しい実習生の到来にパチパチと拍手し、興味津々な視線を向けてきた。

「やば、今年の教育実習生ばりイケメンやん!」

女子生徒の一人が興奮気味に囁いた声に、クラスのあちこちからクスクスと笑い声が漏れる。雪深い田舎の小さな高校だ。よそ者がやって来たことが純粋に珍しい上に、都会的な雰囲気を持つ整った容姿が、さらに生徒たちの関心を惹きつけていた。

だが、そんな浮き立った和やかな空気の中で、ただ一人だけ、全く違う空気を纏っている生徒がいた。

窓際のいちばん後ろの席。
その少年――コウは、教壇で挨拶をする純太に一瞥もくれることなく、頬杖をついてただ無言で窓の外の灰色の冬空を眺めていた。

彼が最近東京から転校してきたばかりだということは聞いていた。着崩した制服はまだどこか真新しく、この閉鎖的な村の教室の中で、彼だけが周囲の景色からくっきりと浮き上がっているように見えた。

誰とも視線を合わせようとしない、人を寄せ付けないような鋭く冷たい横顔。
(……気難しそうな子だな)
それが、純太のコウに対する第一印象だった。