絶対に告白させたい×絶対に告白しない幼なじみ

*side零

 スタバでまったりした後、そのままバイト先へ向かうノアをコンビニまで送る。「じゃあね」と挨拶をして別れた後で。俺は小走りで自宅へ帰った。自室に飛び込んで即、健ちゃんにLINEする。

<ちょっと頼みたいことがあるんだけど>

 ちょうど健ちゃんも手が空いていたのか、すぐに既読がついて「どしたん?」というスタンプが返ってくる。

<文化祭でダンスやることになったんだけど、ちょっと練習のコツとか聞きたくて>
<おう。必死じゃん?>
<必死ではないけど。それか短期間でコーチ引き受けてくれるフリーの先生とかいない?>
<必死じゃんwwwww>

 煽りの後にスタ連が続く。頼む相手を間違えたなと後悔するが、友人知人の中でダンスの心得があるやつは健ちゃん以外にいない。

<はいはい必死です。真剣です。お願いします>

 絶妙にうざいスタンプの合間にお願いすると、<いいけど。なんで必死なん?>と返ってきた。
 どう説明したらいいのかわからなくて、指先が迷う。しばらく悩んでから、<真剣にダンスやったら絶対モテるから>と送り返す。既読がついて一瞬の間があった後、怒涛のスタ爆が送られてきた。まあ馬鹿にされるとは思った。でもこれが最大にして唯一の動機だ。モテたい。ノアに。
 ひとしきり煽り系のむかつくスタンプを爆撃した後で、健ちゃんは<了解。探しとくわ>と返してきた。<なる早で頼む>と念を押した後で、ベッドに寝転んで『Blue Sparkle』のMVを再生した。
 意識して見ると、確かにソジュンが一番、動きにキレがあるかもしれない。ソジュンの動きを目で追っている間、ノアの「僕はこの人が一番好き」という言葉が何回もリフレインする。五人のメンバーのうち誰が一番好きか、という意味であることはわかっている。それでも。俺は歯噛みしてしまう。
 ——ノアが一番好きなのは俺でしょ?
 床に投げ出したスクバに目をやる。保護ケースに入れて、カラビナで留めた猫のぬいぐるみがぶら下がっている。密かに「ノア」と名前をつけて、心の中だけで呼んでいる。
 ぬいぐるみのノアに誓う。『Blue Sparkle』を完コピする。いや、超える。ソジュンを超える。
 ノアの「一番好き」は誰にも譲らない。