絶対に告白させたい×絶対に告白しない幼なじみ

*side乃碧

 最近ぬい撮りにはまっている。最近というか、正確に言うと5月から。れいちゃんへ誕生日プレゼントとして贈った猫のぬいぐるみ。色違いで自分の分も買った。れいちゃんに贈った方はグレーの毛色。僕のは三毛猫なのでミケと名付けた。あまりにかわいいので、ことあるごとにミケを撮っている。
 スクバにつけていたミケを外して、蜜芋フラペチーノの前に置く。れいちゃんも僕と同じく、猫のぬいぐるみをコールドブリューコーヒーの前に置いた。2匹並べるとさらにかわいい。シャッター音をカシャカシャいわせながら撮りまくる。
 ナイトプールに行ったときは、ミケを連れていくのを忘れてしまった。せっかくの映えスポットだったのに残念。そのことを何気なくれいちゃんに話したら「なんでそういう面白そうなこと俺に教えないの?」と叱られてしまった。だってれいちゃんがぬい撮りに興味あるとは思わなかったし。じゃあ今度一緒にぬい撮りしよ、という話になって、学校終わりに駅前のスタバで待ち合わせて今に至る。
 カメラロールを見たれいちゃんが、ふっと頬を緩ませた。

「いいじゃん、ぬい撮り。かわいく撮れた」
「ね~かわいいよね。待ち受けにしとこ」
「じゃあ俺も」

 新学期が始まって一週間ぐらい。れいちゃんと一緒にまったりするのは久しぶりだ。
 夏休みの間はたくさん遊んだ。買い物したり、映画を観に行ったり。ナイトプールに行ったときはちょっと気まずいというか……恋人同士という設定のせいで、なんか変な感じになってしまった。でも今はいつも通り。僕たちは壁を背にした席で、ソファーに並んで座っている。一緒にぬいを撮るためにこのポジションだけど、肩が触れそうな距離でも変な雰囲気にはならない。これが普通。当たり前。僕たちは普通の幼なじみ。ヨシ。
 内心だけでほっとしつつ、なんということのない話をする。話題に上ったのは文化祭。僕が通っている高校では、9月末に文化祭をやる。クラス展示はバルーンアートをやることに決まった。

「へえ、いいじゃん。映えそう」
「そうそう。フォトスポット的な感じにするんだって」

 うちのクラスはギャルの子たち主導で、揉めることなくすんなり決まった。主張の強い人がいるとこういうとき助かる。

「それだと当日ラクそう。作るのは大変だろうけど」
「前日にやらないとしぼんじゃうから、徹夜作業説が出ててやばい」
「ノアのとこ徹夜ありなのすごいよな」
「他の校則は厳しめなのに、なぜか徹夜はありなんだよね。部活でも泊まりとか結構あるし」

 クラス展示の他にも、美術部の活動もある。部活では1人1点以上、作品を描いて売ることになっている。これがまたガチの販売で、過去には美術部が売上最高額を叩き出したこともあるらしい。夏休みの間にちょいちょい学校へ行って絵を描いていたけれど、そんな話を聞くと緊張してしまう。描くのは好きだけど、売る、だなんて考えたこともない。
 売上の一部は打ち上げに使うことができるので、先輩たちは張り切っている。3年生はさらに校舎の壁面を使ってライブペインティングをする。部活に傾ける熱量が半端ない。そんな話をしていたら、れいちゃんが悲しげにため息をついた。

「ノアのとこの文化祭、行きたかった……」
「あ~、僕もれいちゃんに見に来てほしかったよ」

 僕の学校が文化祭の日、れいちゃんは研修旅行の予定が入っている。来てもらえなくて残念すぎる。僕の絵はともかく、うちの文化祭は規模が大きくて近隣でも有名だから。一緒に回れたらきっと楽しかったのにな。
 気を取り直してれいちゃんに話をふる。