*side零
放課後。気まぐれな小雨が降る中、俺は同じクラスの寺田くんと一緒に勉強するため、南池袋公園のカフェにやってきていた。
「ノートありがとう、助かります」
席につくなり、寺田くんは俺に深々と頭を下げた。寺田くんは夏風邪が長引いて3日間休んでいた。授業の進度が速いので、たった3日でも挽回するのに苦労する。途方に暮れている寺田くんの姿を見かねて「ノートコピーする?」と声をかけた時はガチで泣かれてしまった。
「休み結構長かったもんね。わからないところあったら教えるよ」
「ほ、本当にありがとう……僕、友達いなくて……どうしようかと……」
「まあ、こういう時はお互い様だし。俺が休んだ時はノート頼むね」
俺の言葉に、寺田くんはぶんぶんとうなりをつけてうなずいた。ずれた眼鏡が笑いを誘う。
俺たちが通っている学校は中高一貫校だけれど、高等部から入ってくる生徒も1割ぐらいいる。寺田くんもその1人。新しいクラスではあるが、内部組ですでにグループが形成されている。気後れしているうちに友達を作るタイミングを見失い、そのまま2ヶ月たってしまったらしい。じゃあせっかくだから一緒に勉強しよっか、という流れになって今に至る。
「俺、ずっと寺田くんみたいに真面目な友達が欲しかったんだよね」
「うっ、嬉しいけどっ……! でも僕なんて真面目しか取り柄がないっていうか、率直に頭が良くないからガリ勉してるだけで……」
「真面目が一番いいよ。世の中には成績がよくても性格がクズみたいな奴らもいるし」
俺がため息をつくと、隣のテーブル席でだらけていた前園と須藤が絡んできた。
「なにそれ俺たちのこと言ってる?」
「お前ら以外にクズいないだろ」
俺が誘ったのは寺田くんだけ。誘ってないのに勝手についてきたのがこのクズ2人である。俺が蔑んだ目を向けても、前園と須藤は悪びれることなくヘラヘラ笑っている。
「そんな言い方したら寺田くんが誤解するじゃん。俺たちは成宮がイケメンのくせに成績までよくなったらムカつくので勉強の邪魔をしているだけなのに」
「そうそう、成宮が学年十位以内に入ったら物理的に嫌がらせを開始するけど全然無理そうだから飯が美味くてプークスクス」
「散れよカスども」
こいつらは中等部の時からこの調子で俺につきまとっている。アッシュピンクのインナーカラーを入れているハデな方が前園で、一見地味なダウナー系だけれどチャラい方が須藤である。害しかないので紹介する気は一切ないが、善良な寺田くんはおどおどしながら2人に話しかけた。
「で、でも、前園くんと須藤くんは成績いいって先生に聞いたことある……よかったら、勉強法とか教えてもらいたいけど……」
「おっ、いいよ。まず教科書を読んで全部暗記するだろ? そしたら参考書も読んでそれも全部暗記しとくのよ。あとは暗記しといた問題を暇な時に解いていくだけ」
「えっ?」
「俺はマイクラやりながら勉強してる」
「えっ? えっ?」
「ダメだ寺田くん、こいつらの話は聞くな」
前園も須藤もクズのくせに頭がいい。一度見聞きしたことは忘れないし、発想力も応用力もある。勉強に時間を割かなくとも成績は常にトップ。ふざけているが本物の天才だ。
「とりあえず今日の復習やっちゃってさ、その後で問題作り合わない?」
「あっ、あっ、いいね。やろう」
前園と須藤に翻弄されて目を白黒させていた寺田くんは、俺の提案にすがるみたいにうなずいた。
放課後。気まぐれな小雨が降る中、俺は同じクラスの寺田くんと一緒に勉強するため、南池袋公園のカフェにやってきていた。
「ノートありがとう、助かります」
席につくなり、寺田くんは俺に深々と頭を下げた。寺田くんは夏風邪が長引いて3日間休んでいた。授業の進度が速いので、たった3日でも挽回するのに苦労する。途方に暮れている寺田くんの姿を見かねて「ノートコピーする?」と声をかけた時はガチで泣かれてしまった。
「休み結構長かったもんね。わからないところあったら教えるよ」
「ほ、本当にありがとう……僕、友達いなくて……どうしようかと……」
「まあ、こういう時はお互い様だし。俺が休んだ時はノート頼むね」
俺の言葉に、寺田くんはぶんぶんとうなりをつけてうなずいた。ずれた眼鏡が笑いを誘う。
俺たちが通っている学校は中高一貫校だけれど、高等部から入ってくる生徒も1割ぐらいいる。寺田くんもその1人。新しいクラスではあるが、内部組ですでにグループが形成されている。気後れしているうちに友達を作るタイミングを見失い、そのまま2ヶ月たってしまったらしい。じゃあせっかくだから一緒に勉強しよっか、という流れになって今に至る。
「俺、ずっと寺田くんみたいに真面目な友達が欲しかったんだよね」
「うっ、嬉しいけどっ……! でも僕なんて真面目しか取り柄がないっていうか、率直に頭が良くないからガリ勉してるだけで……」
「真面目が一番いいよ。世の中には成績がよくても性格がクズみたいな奴らもいるし」
俺がため息をつくと、隣のテーブル席でだらけていた前園と須藤が絡んできた。
「なにそれ俺たちのこと言ってる?」
「お前ら以外にクズいないだろ」
俺が誘ったのは寺田くんだけ。誘ってないのに勝手についてきたのがこのクズ2人である。俺が蔑んだ目を向けても、前園と須藤は悪びれることなくヘラヘラ笑っている。
「そんな言い方したら寺田くんが誤解するじゃん。俺たちは成宮がイケメンのくせに成績までよくなったらムカつくので勉強の邪魔をしているだけなのに」
「そうそう、成宮が学年十位以内に入ったら物理的に嫌がらせを開始するけど全然無理そうだから飯が美味くてプークスクス」
「散れよカスども」
こいつらは中等部の時からこの調子で俺につきまとっている。アッシュピンクのインナーカラーを入れているハデな方が前園で、一見地味なダウナー系だけれどチャラい方が須藤である。害しかないので紹介する気は一切ないが、善良な寺田くんはおどおどしながら2人に話しかけた。
「で、でも、前園くんと須藤くんは成績いいって先生に聞いたことある……よかったら、勉強法とか教えてもらいたいけど……」
「おっ、いいよ。まず教科書を読んで全部暗記するだろ? そしたら参考書も読んでそれも全部暗記しとくのよ。あとは暗記しといた問題を暇な時に解いていくだけ」
「えっ?」
「俺はマイクラやりながら勉強してる」
「えっ? えっ?」
「ダメだ寺田くん、こいつらの話は聞くな」
前園も須藤もクズのくせに頭がいい。一度見聞きしたことは忘れないし、発想力も応用力もある。勉強に時間を割かなくとも成績は常にトップ。ふざけているが本物の天才だ。
「とりあえず今日の復習やっちゃってさ、その後で問題作り合わない?」
「あっ、あっ、いいね。やろう」
前園と須藤に翻弄されて目を白黒させていた寺田くんは、俺の提案にすがるみたいにうなずいた。
