禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 背筋を伸ばし、偉そうに胸を張り、武虎へ恭しく頭を下げる。

「小笠原様。本日は重大なお話があり参りました」

 武虎は突然の来訪に険しい顔をしながらも応接間へ促す。
 和臣は胸が不穏な予感で満たされていくのを感じた。

 小笠原家の応接間は、朝の光が障子を透かして柔らかく灯り、琥珀色の柱が静かに輝いていた。

「我が娘、櫻子を御嫡男、和臣様のもとに嫁がせとう存じます」

 白川倫太郎の声は妙に誇らしげで、その隣に座る櫻子は、楚々とした微笑みを浮かべていた。

 その言葉は、雪乃の胸を深々と刺し貫いた。
 和臣の心臓も、ずきり、とひどく痛んだ。

 雪乃は女中に促され、お茶を準備に下がる。

 和臣は雪乃を選びたいと叫びたかった。
 でも、喉は何ひとつ声を発してくれない。

 以前のように雪乃に告白し、恋仲になって父に報告しておくべきだったと後悔した。

 武虎は倫太郎へと視線を向けた。

「その話、まずは和臣の意志を確かめねばならんな」
 そう告げると、わずかに和臣に目を向けた。
 和臣の顔は苦しげに歪んでいる。

 武虎は一つため息をつくと口を開いた。