禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 和臣は息を整え、雪乃を救うために、すべてを背負う覚悟を胸に固めた。

 ♢♢♢


 目を開けると、まだ夜明け前だった。

(結局、俺は⋯⋯)

 かつて自分が愛した女は人と決して相容れない妖ーー雪女。

 それでも救いたくて、守りたくて、そのために声を失い、そしてまた、同じ場所へ戻ってきた。

 あまりにも理不尽で、悲しくて、滑稽だ。
 笑うしかなかった。

 声のない笑いが、静かに漏れる。
 空気が震えもしない、ただ胸の奥で転がるだけの笑い。

 和臣は息を潜めながら、病床の母、琴音の元に向かった。