禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

『な、何で!』
 言葉にならない衝撃が胸を締めつける。
 雪乃の氷のような蒼い瞳、氷の舞う姿、彼女が最後まで自分を守ろうとした記憶。
 それが、胸に痛みをもたらす。

『お願いです。雪乃を助けられるならば、この命も渡せます。お願いです何でもします』
 雪乃が、雪女に姿を変えてもと必死に守ってくれた自分の命。

 和臣は自分の命を彼女に支えたいと思うほど、彼女を想っていた。

 必死な和臣の姿に天狗は少し考え込んだ後、口を開く。

『お前の望みを叶える力は授けられる』

 天狗は冷たい風を巻き起こしながら続ける。

『時を遡る禁忌の妖術がある。使えば、運命を覆すこともできる。お前が雪乃を失わないための力は存在する』

 和臣の目に光が戻る。絶望と悲しみの中で、まだ一縷の希望が胸に差し込む。
 雪乃を失った悲しみを力に変え、運命を変える。

 その覚悟が、凍てつく社の中で、和臣の心を燃え上がらせた。
 天狗の鋭い瞳が、和臣の決意を見据える。

『だが代償も大きい。時を遡った時、お前は大切なものを失っているだろう。時間と運命そのものを揺るがすとはそういう事だ』