禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 雪乃も自分の正体に驚き引け目を感じながらも、和臣に愛を必死に伝えてきた。
 そんな彼女を愛おしく思い、自分も彼女を守れる存在になりたいと願った。

 しかし、妖の前では己の力は無力だった。

『和臣様、逃げて!』

 雪乃は氷の力を駆使し、大妖にに仕えている妖狐を圧倒しながら、和臣を安全な方向へ導く。

 手から放たれる氷の矢が枝や石に絡みつき、視界を遮る。
 雪乃の足元の霜は光を反射し、闇の中で幻想的な白銀の光景を作り出す。

 大妖の巨体が迫る。地面が振動し、木々が軋む。
 雪乃の胸は痛み、力の限界を感じる。

 だが、和臣のために、後退しつつも氷の刃を生み出し、可能な限りの抵抗を続ける。

『雪乃!』
 和臣は雪乃が必死に戦う姿を目に焼き付けていた。
 自分が彼女を守りたいと思っていたのに、妖同士の対決の前では何もできない。

 雪乃は大妖に圧倒されながらも、必死に和臣に逃げるよう視線を送ってきた。

 雪乃の背後で、大妖の影がさらに迫る。雪乃は最後の力を振り絞り、和臣を小道へ押し出す。

 その瞬間、雪乃の体に大妖の影が覆いかぶさる。