禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 でも、その瞳の奥には、いつもの温もりはなく、明確に避けられているのが伝わる。
 胸が締め付けられるように痛む。

 自分が何故か和臣を求める気持ちと、彼から避けられる現実が、交互に雪乃の心をかき乱す。

 小さく息を吐き、手を少し伸ばしてみるが、和臣は目を逸らしたままだ。
「どうしてですか? なぜ、私を避けるのですか?」
 風に髪を揺らされながら、雪乃は立ち尽くす。

 頬に落ちた一枚の落ち葉が、まるで自分の心を映すかのように、冷たくて儚い。
 それでも雪乃は、恐る恐る歩み寄る。

 胸の奥で痛みが広がるたびに、過去の記憶と現実の隔たりが大きくなるのを感じながらも、諦めきれずに、和臣の近くへ一歩ずつ。

「和臣様、お願いです。避けないでください。私、貴方様とお話がしたいんです」
 雪乃の声は、初対面とは思えないほどに柔らかく、切実だった。

 初めて会った日のはずなのに、心はあの時の甘く温かい時間を思い出して、自然と距離を詰めようとしていた。

 雪乃の胸の奥に、かつて彼と寄り添った日々の記憶が断片的に蘇り、点と点が線で繋がるようになっていく。