禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

(ごめん、雪乃。もう、俺は君には近付けない)

 落ち葉が足元でカサリと音を立てる。
 その音さえ、和臣には胸を刺すように響き、過去と現在の交錯に、心が引き裂かれる。

 秋の光は優しく、空気は澄んでいる。
 だが和臣の心は、寒風に晒されたように、凍りついたまま。

 ♢♢♢

 落ち葉の絨毯を踏みしめる足音が、ふと止まる。
 和臣は視線を宙をさまよわせ、わずかに肩を震わせていた。

 雪乃はその変化に気づき、胸がざわついた。
 言葉を話せない一つ年上の小笠原家の嫡男については聞いていた。

 名前は小笠原和臣。凛とした佇まいと麗しい見た目。

 士官学校でも幹部候補で成績優秀だと聞く。
 そんな将来有望の彼を見た時になぜか既視感を感じた。

(私、初対面なのに避けられている? 初対面? 本当に?)

 彼の姿に、かすかな懐かしさと、甘い記憶が断片的に蘇る。
 過去、笑いながら手を握ったこと、肩に寄り添ったこと。

 そして、夕暮れの商店街で二人きりで歩いた日のことも、ぼんやりと思い出す。

「和臣様」
 声をかけると、微かに振り返る気配があった。