禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「雪女よ。これならどうだ? お前の能力とは相性が悪いはずだ!」

赤い炎が雪の嵐に噛み付くように飛びかかる。
しかし、雪乃の周囲の吹雪は一切乱れることなく、逆に炎を凍らせ、白く粉雪に変えてしまった。

「っく!」
妖狐は目を見開き、炎が力なく消えていくのを見た。
銀色の雪と風の壁が、まるで生き物のように妖狐を押し返す。

「く、くそ⋯⋯!」
尾を大きく振り、最後の力を振り絞ろうとするが、雪乃の怒りは嵐となり、冷気の竜巻のように妖狐を押し流す。

瞬く間に、妖狐は後方へ押し戻され、影の中へ逃げ去った。
その背中に、白い雪が舞い散り、逃げ惑う姿がかすかに光る。

雪乃は荒い息をつく。

氷の嵐はまだ体の周囲で渦巻いていた。

——その時、寒風の中に、かすかな人の気配を感じた。

雪乃の瞳が揺れる銀の光を集め、視線が一点に定まる。

吹雪の中、揺れる黒影。
凍りついた世界に、ただひとつ、人の温もりを感じさせる気配。

吹雪はますます激しさを増し、銀髪が狂おしいほどに舞い上がる。
雪乃の胸の奥では、怒りと悲しみが氷の竜巻のように渦巻いていた。

黒影ーー和臣は、吹雪の中に揺れる。