禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

(いや⋯⋯いや⋯⋯誰か助けて)

 胸の奥で、何かが砕けた。

 自分でも聞こえるほどはっきりしていた。
(風が冷たい⋯⋯いや、違う)

 風そのものが、雪乃の体から生まれている。

 雪乃は胸を抑える。
 そこから、冷たさがじわじわと広がり、指先まで痺れていく。

(どうして? 私、こんなに寒いの?)

 妖狐が眉をひそめた。

「覚醒したか⋯⋯娘の中から冷気を感じる」

 その瞬間、風が逆巻きに空中に舞い上がる。
 冬の夜よりさらに冷たい、異様な風。

 雪ではない。
 雪乃の体から溢れ出る“霜”が風に乗り、世界の色を奪っていく。