禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「三日間も閉じ込められている事に本人が疑問を感じ始めています」

 静かな声だった。

 いつもと変わらぬ、落ち着いた声で女中と話している。
 だがその一言で、和臣の体温が一気に落ちていく。

(閉じ込めた? なぜだ! なぜ、雪乃を?)
 廊下の隅に身を寄せ、耳を澄ませる。

「白川の長女、櫻子さんから聞いた。雪乃はうちの家の名誉を損なう行動をしたらしい。雪乃には小笠原家の嫁としてどうするべきか考える時間を持つよう伝えよ」
 武虎の声はわずかに苛立ちを帯びていた。

「承知致しました」
 父の言葉を聞いた瞬間、和臣の視界がぐらりと揺れた。

 武虎は雪乃に婚姻を受け入れるかどうかの判断を委ねてなどいない。
 強引に彼女と婚姻し、一年後には妖狐に渡すつもりだ。

 和臣は踵を返し、まっすぐ雪乃の部屋のある離れへと歩き出した。

 足音はいつもよりも速く、畳を叩く音が乾いて響く。

 胸が熱く、息が荒い。
 そのまま部屋の戸を開けようとしたが番をしていた男が、和臣の前に立ちふさがった。

「和臣様、お戻りください。誰も通してはならないと申しつかっております」