禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

(今、私、一人です。和臣様に会いたい)

 扉の向こうで番の人が歩く音がするたび、雪乃の心はざわついた。
 この部屋は、あまりにも静かだ。

 そんな沈黙の中で耳を澄ませば、胸の鼓動ばかりがやけに大きく響く。
「会いたい⋯⋯和臣様⋯⋯」

 喉から洩れたその声は、自分でも驚くほど弱々しい。
 雪乃は手紙を胸に抱き、膝を抱え込むように身を縮めた。

 雪の降り積もる音が、かすかな白いざわめきとなって耳に触れる。
 この部屋の寒さは、まるで心の内側まで凍らせていくようだった。

 ーー和臣がいない。

 この孤独が、雪乃には恐ろしくてたまらなかった。

 ♢♢♢

 廊下の先で、父・武虎の低い声が聞こえた。

 和臣は歩を止めた。
 胸の奥で何かがざわりと揺れ、息が止まる。

 ーー雪乃の名が聞こえたのだ。

 雪乃は体調が悪く部屋で過ごしていると聞いていた。
 今まで体調が悪そうな時も無理やり働かせられていた彼女だが、武虎との縁談があるから丁重に扱われているのだと思っていた。

「雪乃は、結婚式まで部屋に閉じ込めておけ。今日の雪乃の様子はどうだ?」