「妻を亡くして寂しいところを雪乃の存在に癒されたそうだ」
櫻子の頭の中がカッと真っ赤に染まる。
奉公人として小笠原家に参上した癖に家主を籠絡するなんてとんでもない女だ。
(流石、アバズレの娘はアバズレね)
自分の娘だと二歳の雪乃を連れてきた父の姿を思い出して櫻子は怒りで気が狂いそうになる。
当時、五歳だった櫻子は直ぐに雪乃を敵だと判断した。
父の不貞を抗議することもなく受け入れた母、節子の震えを感じたからだ。
昔の櫻子は母が大好きで、母の敵は自分の敵だった。
雪乃に辛くあたり、折檻する母を見ては真似をした。
しかし、不満を持ちながらも、父の前では従順な母を見続けいつしか母のことも嫌いになっていた。
「雪乃と武虎様の縁談がなくなれば、私と和臣様の縁談を進めてくれるのでしょうか?」
「⋯⋯それは」
倫太郎の歯切れが悪く、櫻子は呆れ返った。
おおかた白川家の借金を小笠原家に肩代わりしてもらう話が出ているのだろう。
事業に失敗し白川家は没落貴族と影で笑われている。
櫻子の頭の中がカッと真っ赤に染まる。
奉公人として小笠原家に参上した癖に家主を籠絡するなんてとんでもない女だ。
(流石、アバズレの娘はアバズレね)
自分の娘だと二歳の雪乃を連れてきた父の姿を思い出して櫻子は怒りで気が狂いそうになる。
当時、五歳だった櫻子は直ぐに雪乃を敵だと判断した。
父の不貞を抗議することもなく受け入れた母、節子の震えを感じたからだ。
昔の櫻子は母が大好きで、母の敵は自分の敵だった。
雪乃に辛くあたり、折檻する母を見ては真似をした。
しかし、不満を持ちながらも、父の前では従順な母を見続けいつしか母のことも嫌いになっていた。
「雪乃と武虎様の縁談がなくなれば、私と和臣様の縁談を進めてくれるのでしょうか?」
「⋯⋯それは」
倫太郎の歯切れが悪く、櫻子は呆れ返った。
おおかた白川家の借金を小笠原家に肩代わりしてもらう話が出ているのだろう。
事業に失敗し白川家は没落貴族と影で笑われている。
