禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「わ、私に、こんな素敵なものは似合いません」
そう言った瞬間、和臣がそっと雪乃の袖をつまんだ。

ーーその仕草。
どこかで知ってる。
いつも凛とした和臣のいたずらっ子な子供のような仕草。

(あの時も、私の袖を同じように持って⋯⋯)
雪乃の中にふわっと断片的な温かい記憶が春風のように入ってくる。
胸が熱くなり、息がうまく吸えない。

試しに手に取った薄紫の羽織を羽織ると、布地が頬に触れ、ふわりと柔らかい。

鏡に映った自分は、まるで見知らぬ「お洒落な少女」のようで、思わず戸惑う。
すると、和臣が鏡越しに雪乃を見て、そっと目を細めた。

その表情に胸が熱くなる。
雪乃はそっと頬に手をあて、鏡の中の自分と、和臣の視線を重ねた。
「ありがとうございます」


和臣はその後も沢山雪乃に贈り物をする。
そんな姿を唇から血が出るほど噛み締めながら見つめる女がいた。

ーー白川櫻子。

実家で雪乃を虐げ尽くした姉だ。
雪乃の楽しげな声が通りに溶け、和臣の無言の優しさが周囲の視線を集める。
櫻子はその光景を呪うように見つめていた。