「和臣様! お待たせしてしまいました」
弁当を差し出してくる雪乃の手を取り、和臣は士官学校を出た。
雪乃は一瞬驚いたような顔をするも和臣についていく。
優等生である和臣がサボる姿に周囲は驚きと共に羨望の視線を送った。
「凄い美人だな。逢引きか? 今のうちに将来の上官に恩を売っておくか」
先程、揶揄っていたはずの同級生が教官に和臣の早退のフォローをしにいく。
才能があり、稀有な美女を連れた男、和臣は昔のような地位を取り戻しつつあった。
和臣は店先に置かれた木の長椅子に静かに腰を下ろし、膝の上で小さな包みをそっと開いた。
白い布に丁寧に包まれ、手の温もりすら残っているようだった。
布をほどくと、中から現れるのは素朴で色彩の美しい料理。
大根の煮付け、卵焼き、少しばかりの鮭⋯⋯雪乃の細やかな気遣いが感じられる品々だった。
雪乃は和臣の言葉を待つように彼の隣にそっと座る。
——どうか、お体に気をつけて。
そんな気持ちが包み紙にまで滲んでいる。
(言葉なんてなくても、雪乃は気持ちを伝えてくる。俺にもできるはずだ)
和臣は手を合わせ、目を閉じる。
弁当を差し出してくる雪乃の手を取り、和臣は士官学校を出た。
雪乃は一瞬驚いたような顔をするも和臣についていく。
優等生である和臣がサボる姿に周囲は驚きと共に羨望の視線を送った。
「凄い美人だな。逢引きか? 今のうちに将来の上官に恩を売っておくか」
先程、揶揄っていたはずの同級生が教官に和臣の早退のフォローをしにいく。
才能があり、稀有な美女を連れた男、和臣は昔のような地位を取り戻しつつあった。
和臣は店先に置かれた木の長椅子に静かに腰を下ろし、膝の上で小さな包みをそっと開いた。
白い布に丁寧に包まれ、手の温もりすら残っているようだった。
布をほどくと、中から現れるのは素朴で色彩の美しい料理。
大根の煮付け、卵焼き、少しばかりの鮭⋯⋯雪乃の細やかな気遣いが感じられる品々だった。
雪乃は和臣の言葉を待つように彼の隣にそっと座る。
——どうか、お体に気をつけて。
そんな気持ちが包み紙にまで滲んでいる。
(言葉なんてなくても、雪乃は気持ちを伝えてくる。俺にもできるはずだ)
和臣は手を合わせ、目を閉じる。
