禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「和臣様?」

雪乃の声に和臣は驚いたように顔を上げた。
声は出せない。何故だか金縛りにあったように今、字も書けなくなっている。

「ゆっくりでいい」と言われても結局は何もできない自分を雪乃が心配がっている。
その状況に耐えられず、和臣は立ち上がり去ろうとした。

「行かないでください。和臣様」
何故か縋るような瞳で引き留める雪乃に戸惑う。

雪乃は喋る勇気を溜めて、一度深く息を吸った。
「和臣様。私が旦那様と結婚する話が出た時に泣いてましたよね。あの涙の意味を聞きたいのです」
和臣の目が大きく見開かれ、戸惑いが浮かぶ。

雪乃は続ける。
「私のことを心配してくださったのだと、勝手に思ってしまいました。でも、本当は⋯⋯なぜ、あんなに悲しそうだったのか分からなくて」
声は震えている。
雪乃は自分でも何を聞きたいのかわからないまま、胸の奥が疼きに従い和臣に尋ねていた。

和臣は”雪乃を心配しての涙”だと彼女が感じ取ってくれたことに希望を見出す。

「和臣様、お手数ですが、文字を書いてお気持ちを教えてくださいませんか?」
再び和紙と万年筆を差し出される。