その呟きを聞いた武虎の口元がわずかに持ち上がる。
柔らかな微笑の裏で、その眼には 勝利を確信した猛獣の光 が宿っていた。
(そうだ。頼れ。もっと深く)
ーー遠く、柱の影からその様子を見つめるもう一人の男がいた。
小笠原和臣。
前世で雪乃と心を交わし、今世でもなお彼女を想い続ける男。
(雪乃!!)
和臣は父の術中にはまる愛しい女を見てるだけの自分の無力さを呪った。
その後も武虎を頼るようにもたれかかる雪乃を見ては和臣は気が狂いそうになる。
ーー大妖に喰われる雪乃の運命は父の側にいたら変わるのだろうか。
ふと無力な自分と財も権力も腕力も持った父を比べ和臣は苦悩する。
愛しい女の絶望的な運命を救えるのなら自分は身を引くべきという、もう一人の自分が脳の中に現れる。
声を失った自分が雪乃に出来ることなど何もないと和臣は無力感に打ちひしがれるのだった。
その夜、和臣は眠れない夜を過ごしていた。
水を飲みに台所に向かう途中で父の寝室の前を通る。
「心配は要らぬ。雪乃は私に懐き始めた。あと一年、味わわせてもらえれば契約どおり、最後にはそちらへ渡そう」
淡々とした誰かと話す父の声。
柔らかな微笑の裏で、その眼には 勝利を確信した猛獣の光 が宿っていた。
(そうだ。頼れ。もっと深く)
ーー遠く、柱の影からその様子を見つめるもう一人の男がいた。
小笠原和臣。
前世で雪乃と心を交わし、今世でもなお彼女を想い続ける男。
(雪乃!!)
和臣は父の術中にはまる愛しい女を見てるだけの自分の無力さを呪った。
その後も武虎を頼るようにもたれかかる雪乃を見ては和臣は気が狂いそうになる。
ーー大妖に喰われる雪乃の運命は父の側にいたら変わるのだろうか。
ふと無力な自分と財も権力も腕力も持った父を比べ和臣は苦悩する。
愛しい女の絶望的な運命を救えるのなら自分は身を引くべきという、もう一人の自分が脳の中に現れる。
声を失った自分が雪乃に出来ることなど何もないと和臣は無力感に打ちひしがれるのだった。
その夜、和臣は眠れない夜を過ごしていた。
水を飲みに台所に向かう途中で父の寝室の前を通る。
「心配は要らぬ。雪乃は私に懐き始めた。あと一年、味わわせてもらえれば契約どおり、最後にはそちらへ渡そう」
淡々とした誰かと話す父の声。
