禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 今日のためにと揃えられた、洋装に合わせるための革靴。
 艶やかな赤い革は確かに美しい。

 だが、細長い爪先と硬い革は、彼女の足をまるで異物のように締めつけていた。
 床板の上に立つだけで、つま先にじんとした痛みが走る。

「⋯⋯っ」

 雪乃は小さく眉を寄せ、足を内側へそらすようにして痛みをごまかした。
(洋靴を履き慣れてないせいよね。私の問題だわ)

 細身で華奢に見えるようにと作られており、履く者の苦しさなど配慮されてはいない靴。
 歩くたび、革がぎしりと鳴り、踵は硬い芯にこすれて擦れたような熱が生じる。

 一歩進むたびに、雪乃の足は悲鳴をあげた。
 爪先は詰め物でもしたかのように圧迫され、踵はまるで氷の粒が皮膚に刺さるような鋭い痛みを覚える。

 足の甲は、革がまだ馴染まず、冷たく固い手で締めつけられているようだった。
「⋯⋯んっ」

 誰にも聞こえないほどの小さな囁きが漏れた。
 けれど、顔には痛みの気配を出さない。

 雪乃はそっと表情を整え、再び歩き出す。
 ぎし、ぎし、と革靴が床をかむたびに、雪乃の足は泣きたいほど悲鳴をあげた。

 しかし、彼女は振り返らず、ただ静かに歩みを整えた。