禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 その言葉は責めるでもなく、ただ事実を受け入れるように淡々としていた。
 だがその奥には、押し殺された痛みが静かに沈んでいる。


 和臣は強く首を振る。
 違う、と。

 必死に伝えようとする。

 肩が揺れ、息が乱れ、それでもなお言葉にならない声を届けようとする。
 その仕草は、痛々しいほどに真っ直ぐだった。

 その姿に、雪乃は小さく目を細めふわりと微笑む。
 それは先ほどまでの冷たい笑みではなく、氷の仮面が溶け落ちた後に残る、本来の表情。

 やわらかく、穏やかで、どこか儚い和臣が見慣れた雪乃の笑みだった。

「ありがとうございます。今度こそ、終わりにいたしますわ」
 雪乃の言葉は静かだったが、その奥には決意が宿っていた。

 繰り返しの果てに辿り着いた、揺るがぬ終止符。
 春の風が、雪乃が凍らせた世界を抜け二人の間をすり抜けた。

 中庭から流れ込む風は、どこか柔らかい。
 凍りついていた空気をわずかに緩め、衣の裾を優しく揺らした。
 和臣は雪乃が離れないように言葉なくギュッと抱きしめる。