禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「和臣様、こちらのリボンはいかがでしょうか。琴音様のお気に入りのお帽子に添えれば、きっとお喜びになります」

 和臣はそっと頷き、指先で雪乃の手に軽く触れ、微かに握る。
 雪乃は驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべ、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。

 二人が並んで店を歩くたび、通りの活気が二人の静かな世界を包み込む。
 小さな子どもが笑い声を上げ、焼き栗の香りが漂うたび、雪乃は和臣の顔をちらりと見上げる。

 彼の目が微かに笑っているのを見て、自然と頬が赤くなる。
「和臣様、ではこちらの小箱に致しましょうか?」

 雪乃がそっと箱を差し出すと、和臣は指先で小さく「良い」と示す。
 声はなくとも、二人の間には言葉以上の信頼と温もりが流れていた。
 太陽の光に雪乃の艶やかな黒髪にきらめき、通りの喧騒が遠くに感じられる。

 通り沿いの小さな店の前で、和臣は足を止めた。
 店の中には色とりどりの簪や髪飾りが並び、春の花を模したものも多い。

 和臣はそっと指を伸ばし、紫色の小さな花、ムラサキハナナの簪を手に取る。
 雪乃はふと、和臣がその簪を手に取った瞬間に目を見張った。