禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

しかし、すぐに笑みを取り繕い、嘲るように言葉を重ねる。
「どうしたの、雪乃? まさか私を咎めるつもり?」

その瞬間、雪乃の手が自らの髪から簪を抜く。
和臣から贈られてから常に身につけているムラサキハナナの簪だ。

冷静さを装いながらも、指先には決意の硬さが宿る。

「今までのお返しよ。お姉様、和臣様に貴女は相応しくないわ」

雪乃の動作は一瞬で、簪が櫻子の肩に突き刺さる。

金属の冷たい感触が伝わり、櫻子の笑みは一瞬で歪む。

「うっ!」
空き部屋に緊張が走る。

櫻子は咄嗟に後退し、驚きと怒りで顔を赤くする。

雪乃の瞳は揺るがない。
その眼差しには、雪女としての底知れぬ強さと、和臣に対する執着が宿っていた。
(白川櫻子ーーこの女を妖狐様に献上しよう)

櫻子は怒りと恐怖が入り混じり、膝元がぐらつく。

雪乃はその隙を逃さず、櫻子の腹を拳で殴る。
櫻子はその場で気を失った。

雪乃は櫻子を引き摺り、病床の琴音の部屋に行く。

琴音の寝息がかすかに聞こえる静寂の中、雪乃は櫻子を引きずりながら扉の前に立つ。
「妖狐様は願いを叶えてくれるかしら」