禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

「承知いたしました、お姉様」

表面上は従順。だが瞳の奥には、雪女としての潜在的な力が静かに息づく。

櫻子は雪乃の冷静な様子に、苛立ちがじわりと増す。
「雪乃、わかっているでしょう? 私が言ったことは絶対。和臣様に近づくなんて、二度と許さないわよ」

言葉の端に、威圧と嫉妬が絡み合う。

雪乃は内心で静かに笑みを抑える。

(――近づけなくても、心で和臣様と繋がっている)
「お姉様、ご安心ください。私は立場を弁えております」

雪乃は冷静さを盾にして櫻子の圧力を受け流したはずだった。

しかし、続く櫻子の侮辱の言葉に雪乃の雪女としての冷酷さが覚醒し始めてしまう。

「やっと手に入れたのよ。小笠原和臣を! 言葉を喋らない大金持ちなんて最高のお財布じゃない」

(和臣様を侮辱するなんて絶対に許せない!)

雪乃視線は氷のように冷たく変わる。
心の中で雪女としての潜在的な力がざわめき、静かに牙を剥き始める。

「お姉様⋯⋯」
雪乃の声は震えない。

だがその言葉には、深い怒りと決意が込められていた。

櫻子は、雪乃の瞳に宿る底知れぬ威圧に一瞬たじろぐ。