雪乃は言われた通り、空き部屋に行く。
広間の華やかさとは違う、静かな緊張感がここには漂っていた。
扉の向こうから、静かだが確かな足音が近づいてくる。
ガラリと扉が空くと、苛立ちを隠せない櫻子が現れた。。
櫻子は椅子に腰掛け、冷たい視線を向けてくる。
雪乃は困惑しつつも、姉の視線から逃げずに立っていた。
「どうかしましたか、お姉様?」
雪乃の言葉に櫻子は微笑みながら片眉を上げる。
「雪乃、広間で目立ちすぎたわね。婚約式は私のためのもの。なのに、あなたは膳を運ぶ姿ひとつで、人々の視線を集める。まるで、私の存在を脅かすかのように」
(目立った? でも、意図してない⋯⋯)
雪乃は櫻子の言い掛かりに困惑していた。
櫻子の纏う空気は、広間で見せていた優雅な笑顔とはまるで違う。
硬質で、どこか刺々しい。
「お姉様、私はそのようなつもりはありません。ただお手伝いをーー」
「“つもりはない”で済むなら誰も苦労しないわ」
櫻子の声は静かだったが、その中に爪のような鋭さがあった。
広間の華やかさとは違う、静かな緊張感がここには漂っていた。
扉の向こうから、静かだが確かな足音が近づいてくる。
ガラリと扉が空くと、苛立ちを隠せない櫻子が現れた。。
櫻子は椅子に腰掛け、冷たい視線を向けてくる。
雪乃は困惑しつつも、姉の視線から逃げずに立っていた。
「どうかしましたか、お姉様?」
雪乃の言葉に櫻子は微笑みながら片眉を上げる。
「雪乃、広間で目立ちすぎたわね。婚約式は私のためのもの。なのに、あなたは膳を運ぶ姿ひとつで、人々の視線を集める。まるで、私の存在を脅かすかのように」
(目立った? でも、意図してない⋯⋯)
雪乃は櫻子の言い掛かりに困惑していた。
櫻子の纏う空気は、広間で見せていた優雅な笑顔とはまるで違う。
硬質で、どこか刺々しい。
「お姉様、私はそのようなつもりはありません。ただお手伝いをーー」
「“つもりはない”で済むなら誰も苦労しないわ」
櫻子の声は静かだったが、その中に爪のような鋭さがあった。
