禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 その背中には、冷たくも美しい静謐さが漂い、まるで雪原に光る霜の結晶のように、周囲を凛とさせる。

 櫻子は自分の罠が逆に雪乃の機敏さを引き立てたようで苛立つ。

 嫉妬と苛立ちが胸の奥でうずき、顔の笑みが一瞬だけひきつる。
 雪乃に仕掛けたはずの策略は、返す刀で自分の存在感の足元を揺るがされる結果となったのだ。

 櫻子は女中の美織をひそかに呼び寄せ、低い声で指示を出す。

「美織、雪乃を空き部屋に呼び出してちょうだい」
「分かりました、櫻子様」

 美織は深く頭を下げると、静かに広間を抜けて雪乃のもとへ向かう。
 雪乃は膳を運んでいる途中で美織に呼び止められ、戸惑いながらも空き部屋に足を運ぶ。

 櫻子はそっと式典を中座し、雪乃の元に向かうのだった。