禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 士官学校でも最近では妖についての対策がなされていて、中でも妖狐は妖術で人を操る故、注意が必要とあった。

 だが、その対策まで未だたてられていない。
 実際、自分が妖術に掛かってみると、どうすれば術から逃れられたか全く案が浮かばない。

 前回、父、武虎が操られているとは分からなかったように、自分が操られている事も他者からは分からないかもしれない。

 和臣はそっと雪乃の方を見る。

 和臣は確かに雪乃と心が通じ合えたのを感じていた。
 でも、雪乃は和臣が他の女と婚約するというのに動揺してないように見える。

 雪乃は膳を運び、器を整え、淡々と式の空気に溶け込んでいる。
 その姿に、和臣の胸は締め付けられる。

 雪乃は今回も自分が雪女であることは忘れているようだが、操られていないのは確かだ。
 研究レベルで分かっていることでは、妖狐が操れるのは人だけ。

 妖が妖を操れたとしても、妖狐が雪乃を操ることは不可能だ。

 雪女の雪乃の妖力は妖狐を遥かに上回るのを和臣は身を持って知っていた。

 ♢♢♢

 婚約式の広間は静かに進行し、祝福の声や拍手が淡く響く。