禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 目の奥に隠された強い意思ーー守りたい、傍にいたい、そしてずっと待っていたという思いが、確かに雪乃の心に触れる。

 雪乃は一瞬目を閉じ、和臣の手にそっと自分の手を重ねた。
 温かさだけではなく、言葉を超えた心の触れ合いがそこにあった。

「和臣様の思い、全部、私、受け取りました」
 雪乃の声も、優しく震える。

 和臣は目を細め、にわかに柔らかな笑みを浮かべる。
 言葉はないが、雪乃の胸に届いた安堵と理解に、魂がほっと解けるような笑みだった。

 初雪は外で舞い続けている。
 けれど二人の周囲だけ、世界が静かに温かくなるようだった。

 ♢♢♢

 そして、小笠原和臣と、白川櫻子の婚約式の日。

 白い花々が並び、真新しい絨毯が敷かれ、窓から射す光が磨き上げられた床に反射してきらめく。
 だがその華やかさとは裏腹に、雪乃の胸には異様な冷気が吹き荒れていた。

 櫻子が婚約者として立つその姿を、一目見ただけで―雪乃の体を、骨の奥まで凍らせるような感覚が走った。

 その勝ち誇った視線、優雅に微笑む口元、誇らしげな立ち姿。
 全てが、雪乃の心の深淵に突き刺さる。