禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 和臣の喉がぎゅっと詰まり、声なき叫びが胸を焦がした。
 手を伸ばせば届く距離なのに、何も言えない。

 何もできないまま、彼女は父に売られ、妖に狙われ、未来さえも呑み込まれようとしている。
 和臣の手が、震える。

 雪乃へ伸ばしたいのに、伸ばせない。
 涙だけが、その代わりのように静かに零れ落ちた。
(雪乃、今度こそ俺が守る。絶対に)

 その決意だけが、声を持たない和臣の唯一の叫びだった。

 武虎は急に柔らかく微笑む。
 滅多に笑わない彼の表情に雪乃も和臣も釘付けになった。

「雪乃、そなたは見た目以上に心が強く、気高く美しいのだな」
 虐げられ続けて褒められなれていない雪乃は突然の武虎の言葉に戸惑い頬を染める。

「いえ、そんな⋯⋯」
「そんな、そなただから妻にしたいと思ったのだ。息子の和臣は声さえ出せず未来が見えない。私だけではどうも心細くてな」

 雪乃と武虎のやりとりを見て、和臣は涙を力を込めて止めた。
 雪乃の目に自分が親の再婚が不服で泣いているように思われたら嫌だからだ。

 ただでさえ、言葉一つ発せないお荷物坊ちゃんの姿を見せている。

「和臣様は⋯⋯」