禁忌の雪恋〜声を奪われても君を守る〜

 涙ににじんだ声。

 櫻子はその音を聞いた瞬間、目を細めた。
「奉公人風情が⋯⋯」
 低い声でつぶやき、雪乃の細い手首をつかむ。

「きゃっ!」
 あまりの力に雪乃の身体が揺れた。

 櫻子の爪が皮膚に食い込む。
「雪乃。奉公人なら奉公人らしく、仕事だけしていればいいのよ。私の夫になる男に色目を使うのはやめて」

 櫻子の顔に浮かぶのは、優しい姉の仮面ではなく本性を隠しもしない“支配者の笑み”だった。