妙な夢を見た。
ずる、ずる、ずる、ずる。
ずる、ずる、ずる、ずる。
這い回る。
何かが這い回っている。天井の上か。縁の下か。
否。すぐそこだ。何かが、畳の上をずるずると這い回っている。
頬と枕がぴたりとくっついてしまったように、布団の上で横を向いたまま首を動かすことができない。首だけではない。肩も、腕も、腰も、足も、指先も。何一つ自分の意志で動かすことができない。
暑い。寒い。
それは近づいてくる。
畳を擦る音が近づいてくる。
強烈に生臭い匂いが鼻を突いた。
冷たい感触が、ふくらはぎの上を滑った。固く滑らかで、ひどく冷たい。
蛇だ。蛇に違いない。
シュウ、と息を吐き出すような音。
蛇だ。
「入蛇村には、蛇婿入りの伝承が残されているんですよ」
双刃の声が、水の中でくぐもったように聞こえる。
暑い。寒い。
何かがこちらを見ている。寒い。ちりりと焦げ付くような視線を感じる。
「誰ぞ。誰ぞ」
しわがれ声がする。すすり泣くような声も聞こえる。
ずる、ずる、ずる、ずる、ずる。
「誰ぞ。誰ぞ」
ずる、ずる、ずる、ずる。
