頭が痛い。
星空が未だに瞼の奥で瞬いている。
トカゲの尻尾のように蠢く首の無い死体。そして下半身の無い、若い男の死体。
「……み、君、大丈───」
頭が痛い。誰かが呼びかけてくる。これは夢か?
思えば、この村に来てから双刃以外の声をきいたのは初めてだ。双刃よりも低い、男の声だ。
誠は、何者かに腕を掴まれたのを感じた。振り払いたくて身体を捻ったが、相手は意にも介さなかったようだ。
「はなせ」
自分の声ではないみたいだ。誠は人ごとのように思った。
「君は、佐藤誠で間違いないか?」
その男は鋭い目つきをしていた。流行からは外れたような、こざっぱりした髪を軽く後ろに撫でつけていた。ワイシャツの上からいかにも暑そうなジャケット。
村の人ではなさそうだ。誠は揺らぐ視界の中で男を───木地雅哉を観察した。
「はなせ。ここを、出ないと」
「おい、君まさかクスリか何かやってるんじゃないだろうな」雅哉は言った。
佐藤誠の目は虚ろだった。焦点が全くあっていない。顔色だって、真っ白を通り越して青ざめている。おまけにつかんだ腕がぬるつくほど汗ばんでいる。
雅哉は眉を顰めた。
調査資料によると、彼はまだ高校3年生だったはずだ。
「ひとごろし」誠は言った。
「何?」
「また、人が。夢なのか、わからない。でもまた夢を」
誠は必死に口を動かした。酷い眠気で口が回らない。
男の隣には三琴がいた。
悲しそうな顔で、誠の顔を覗き込んでいる。夏物のセーラー服の青いリボンが目に鮮やかだった。
「誠くん、それは夢じゃないの」三琴は言った。
「ミコトちゃん?どこに行ってたんだよ」誠は目を見開いた。
夢の延長なんだろうか。視界が回転する。
薄曇りの空に白く輝く太陽が異様なほど眩しい。
いつ夜が明けた?
ここはどこだ?
誠の意識は、そこで途切れた。
星空が未だに瞼の奥で瞬いている。
トカゲの尻尾のように蠢く首の無い死体。そして下半身の無い、若い男の死体。
「……み、君、大丈───」
頭が痛い。誰かが呼びかけてくる。これは夢か?
思えば、この村に来てから双刃以外の声をきいたのは初めてだ。双刃よりも低い、男の声だ。
誠は、何者かに腕を掴まれたのを感じた。振り払いたくて身体を捻ったが、相手は意にも介さなかったようだ。
「はなせ」
自分の声ではないみたいだ。誠は人ごとのように思った。
「君は、佐藤誠で間違いないか?」
その男は鋭い目つきをしていた。流行からは外れたような、こざっぱりした髪を軽く後ろに撫でつけていた。ワイシャツの上からいかにも暑そうなジャケット。
村の人ではなさそうだ。誠は揺らぐ視界の中で男を───木地雅哉を観察した。
「はなせ。ここを、出ないと」
「おい、君まさかクスリか何かやってるんじゃないだろうな」雅哉は言った。
佐藤誠の目は虚ろだった。焦点が全くあっていない。顔色だって、真っ白を通り越して青ざめている。おまけにつかんだ腕がぬるつくほど汗ばんでいる。
雅哉は眉を顰めた。
調査資料によると、彼はまだ高校3年生だったはずだ。
「ひとごろし」誠は言った。
「何?」
「また、人が。夢なのか、わからない。でもまた夢を」
誠は必死に口を動かした。酷い眠気で口が回らない。
男の隣には三琴がいた。
悲しそうな顔で、誠の顔を覗き込んでいる。夏物のセーラー服の青いリボンが目に鮮やかだった。
「誠くん、それは夢じゃないの」三琴は言った。
「ミコトちゃん?どこに行ってたんだよ」誠は目を見開いた。
夢の延長なんだろうか。視界が回転する。
薄曇りの空に白く輝く太陽が異様なほど眩しい。
いつ夜が明けた?
ここはどこだ?
誠の意識は、そこで途切れた。
