視える系男子・古屋和弥は解かれたい


 他のクラスメイトは机をくっつけて親しい友人と一緒に昼食をとっている。
 高校生活も2年目となればみんな慣れたもので、4限目終了のチャイムが鳴るとアイコンタクトだけで集まることができるようになるらしかった。
 しかし俺は昼休みはいつもひとり机に突っ伏している。
 誰とも関わりたくなかった。
 そんな俺に、わざわざこうして関わりにくるのが、謎だった。

 万理くんは親しい友人と話すかのように頬杖をつき、笑いながら言う。
「次のロングホームルームは明日――6月7日だ。君は休むんだろう?」
「え?」
「休むんだろう?」

 好奇と期待とが混ざったような目だった。俺は混乱した。
「俺、休む予定、ないけど……?」
 いまのところは。

 しかし万理くんは指を一本立てて、呪文のように言う。
「4月3日、12日、16日、ゴールデンウィークを挟んで、5月11日、15日、24日、6月2日」
「なんだよ?」
「今年度、君が休んだ日付だ。僕は数字に強いからな。すぐにピンと来た」
「はぁ……?」
「ロイドとダイバスを知っているか? 周期的発生と素数の適応的意義を指摘したアメリカの学者だ。君の欠席がまさにそれに当てはまるから面白いと思ったんだ。自然について数学的事象で説明すると……」
 万理くんはつらつらと俺が知らないことを難しい言葉で説明し始める。

 俺の頭にはハテナがいっぱいだ。
「あ、あの、もう少しわかりやすく説明してもらえると助かるんだけど」
 俺が困り果てたように言うと、万理くんはやっと説明を止めてこちらを見た。
 そしてため息をひとつ落とす。
「まあ、いい。とにかく、君は明日休むだろうから出場する競技を決めてくれ」
 ピシャリと言われて、思わず萎縮する。
 もっと尋ねたいことがあったが、それもできなくなる。