つい勢い余ってしまった。相手は病人なのだから強く言うべきじゃないけれど、また言われてしまいかねない。だから強引にでも看病をさせてもらわなきゃ、悪化するだろうし私だって後悔する。
「水は飲める?」
「なっ」
「お腹は空いてない? 薬はないんだけど……あっダメでしょ!」
上半身を起こそうとした病人を、肩を押して強引に寝かせた。無理したら悪化するでしょ! 大人しくしなさいっ!
「病人が無理したら悪化するわよ! だから大人しくしてなさいっ!」
「う……お主、勝手にっ」
「病人には睡眠が必要よ! 薬はないけれど、絶対寝た方がいいわ! お腹は空いてないのね? なら寝なさいっ! うなされてたら起こしてあげるから!」
半ば強引ではあったけれど、起きようとする彼を抑え、掛け布団を首までかけた。
これはちょっとやりすぎだったかな、とも思ったけれど、ため息を吐き大人しくなってくれて安心した。
「はぁ……寝る。だからさっさと去れ。もう来るな」
「はいはい、おやすみなさい」
「……」
二つ返事に不満を持ったのか、睨みつけてきたけれど、その後諦めたのか目をつぶった。ほっと一安心した後にまた濡れタオルを冷やして頭に乗せてあげる。
またうなされないかな、と思いつつも私がいては寝られるものも寝られないからと静かに部屋を出た。あとでまた見に来てあげよう。
……よし。まずは早く住まいに戻って食材を確認しよう。あ、その前にさっき見つけた調理場を確認するところからね。
もう来るな、と言われたけれど……聞けるわけがないじゃない。
部屋で一人、熱を出して寝込んでいる時に感じる《孤独》は、とてつもなく恐ろしいものなのだから。それを、自分はよく知っているから見捨てる事なんて出来ない。
ただの自己満足と言われてしまえば何も言えないけれど……見捨てるという選択肢は全くない。
私は、足を速めた。……帰り道が分からないけれど、歩いていれば辿り着くわよね。また来られるように気を付けなきゃ。
