「永晋」
「はい、こちらに」
いきなり現れた永晋秘書官に、またしても驚いてしまった。一体どこから現れたの……!?
けれど、私を見た瞬間笑みを見せた事に、また恥ずかしくなってしまい目を逸らしてしまった。
「琳の世話係は」
「お部屋で待機させております。お支度の準備も整っております」
「案内しろ」
わ、私の世話係……? 私に、世話係が付くの……?
「そうだな……明日、宴を用意しろ。華族全員を参加させよ」
「かしこまりました。お二人のお支度は?」
「我らで選ぶ。そうだな……洋服と、和服を用意しておけ」
「かしこまりました」
私の、服を……? 宴だなんて、私と香耶殿は後宮を出ることを禁じられて……あぁ、そう言えばそれを禁じたのは帝だったわね。……今ここにいらっしゃる、朧が。
「では、香耶殿下にも招待状をお送りいたしましょうか?」
「あぁ。お前が直接届けてやれ」
「かしこまりました」
香耶殿にも? あぁ、もしかして帝が主催となれば妻達の参加は必須なのかしら。そこら辺はよく教えてもらえてないから、よく分からない。振る舞い方もそう。だから、朧か、その世話役になってくれた方に聞いてみようかしら。
その時だった。
ぐぅ……と、音が鳴ってしまった。……私のお腹の音が。
「ぷっ」
「うぅ……」
抱っこされているから、お腹の音は朧の耳にもきちんと届いた。
は、恥ずかしい……これじゃ、朧と初めて喋った時と同じじゃない……!
「朝餉を用意させたからもう少し我慢だ。出来るか?」
「……子供扱いしないで」
「あっはっはっ、妻を子供扱いなんてするつもりは毛頭ないぞ。安心しろ」
恥ずかしすぎて、溶けてしまいそう……
お腹を鳴らしてしまった事もそうだけれど、それよりも朧の高笑いと、妻と呼ばれた事に。妻なんて言われて、動揺するのは当たり前じゃない。今まで放置されて、帝と結婚したなんて実感は全くなかったんだから。しかも、その相手が、朧なんて……
はぁ、実感、というより、恥ずかしい……朧自身を、そんな目で見てしまいそうで困っちゃうわ……結婚したのだからそれはいい事なんだろうけれど……

