気が付けば、とても温かいものに包まれていた。お布団? と、思っていたら、いつも嗅いでいる匂いと違った。目を開けると……
「ようやく目覚めたか、琳」
その声に、一瞬にして体が固まってしまった。目の前には……はだけた着物。そしてその上に目を向けると……朧の顔があった。
……違う、帝だ。そう、帝。
「もっ……し、わけ……」
「その先を言えば、どうなるか分かっているか?」
「……おはようございます、朧」
「あぁ、おはよう琳。体調はどうだ?」
ど、どうして、帝、朧が、私の布団に……? まったくもって理解が出来ず、とりあえず頷いておいた。笑われてしまったけれど、抱きしめられていたのか引き寄せられてしまった。途端、顔どころか身体中の熱が上がってしまう。
「強引にそなたの異能を引き出してしまってすまなかったな。元気があるなら安心だ」
帝に謝られてしまっている事にいろいろと問題があるけれど……ど、ど、どうしよう……恥ずかしい……
「……人のぬくもりは、ここまで温かいのだな」
「……」
「手だけでは到底感じられぬ温かさだ」
その呟きに、心が締め付けられた。痣に触れれば呪いが移ってしまう。だから、人に触れられることを拒んでいた。
それを知ってる私からしたら、その言葉に悲しさと嬉しさを感じる。……けれど、恥ずかしいのは確か。せめて、そのはだけた着物を直してほしい。
湯船に入っていないのに、このままではのぼせそう……
「琳のおかげだ。ありがとう」
「……いえ」
「琳」
「……」
声が、怖い。恐怖の意味ではなく、怒られている意味で。私が恭しく接する事が嫌らしいけれど……相手は帝。無理は言わないでほしい……心の臓がいくらあっても足りない。
「……その、体調は?」
「以前のような息苦しさどころか、今はだいぶ調子がいい。たとえ冷水を被ったとしても、そなたのように風邪すら引かない自信まである」
「からかわないでぇ……」
「ふはっ、決してからかっていない。本来であれば、霊力は身体に同調し強化される。それは己が持つ霊力の高さで決まるからな」
「……」
「大蛇の呪いを受ける皇族は、霊力が平均を遥かに超える量を持つ者ばかり。我の場合、今まで霊力を大蛇の呪いで締め付けられていたが、もう縛り付けるものがなくなった。今では、お主以上に身体が強い。至って健康そのものだ」
……でしょうね。けれど、呪いを受けてからだいぶ時間が立つわけだし……感覚というか、調子というか……

