この数分間で起こった事が、全くもって理解が出来ない。
いや、まずはそれよりも……
「……あの、帝、これまでの無礼、誠に申し訳……」
「おい」
「……はい」
これまでの無礼。一つや二つじゃない、数えきれないほどの無礼に果たして私は生き残れるのかしらと不安になってしまったけれど、朧……帝の、異能ではない、重たい一言に返事をする事すら苦しかった。
……牢屋送りかしら、私。
「で、何をした」
その言葉に、無意識に正座で背筋をピシッと立ててしまった。冷や汗が止まらない……
……何をした。というのは……もしかして、香耶殿が入ってくる前にしていた話かしら。
でも、それを言われたところで答えられることは何一つない。ただ、看病したのみ。どうしよう、困ったわ……
「そなたの異能は?」
「……光の異能で、ございます。明かりをつけるくらいの、異能ですので、恐らくそのせいではないかと、存じます……」
「見せてみろ」
見せて、みろ……?
ただの、明かりをつけるだけの異能を……?
でも、さすがに命に逆らって言霊の異能を使われてしまうのは、帝の体調を考えてもそれは避けたい。というか、私が餌食になりたくないのもあるけれど。
仕方なく、手のひらに光の玉を出現させ、帝に見せた。こんな何の役にも立たない異能をお見せしてしまうなんて……と、いろいろと心が痛むけれど、おかしい。何も言ってこないどころか、だいぶ凝視し観察している。そして……
「……は、ははっ、そういう事か! あっはははははははは!」
いきなり、帝が笑い出してしまった。しかも、腹を抱えて大爆笑している。先ほどから全く、全くついていけていないのだけれど、どうしたらいいのかしら。
「あの、帝……」
「帝ではない、朧だ」
「……かしこまりました」
「おい、琳」
無言の圧が、痛い。最初のような態度を取れ、とでも言いたげな視線ではあるけれど……本当に、いいの? でも、ここで異能を使われてしまうのは……
どうしよう……秘書官殿、戻ってきてぇ……
