大蛇の呪いと無能の花嫁

「陛下っ!!」


 その時、大きな足音が聞こえてきて、その言葉が叫ばれた。その相手に、私と香耶殿達は目を見張ってしまった。

 先ほど、私達の口論を止めてくれた……秘書官である。


永晋(えいしん)、誰だ」

「……こちらは香耶殿下、陛下の側室でございます。それで、そちらは……」

「こっちは知ってる。そいつを摘まみ出せ」


 えっ、知ってるの……!? 私の事を!? というよりなにより、朧が帝!?

 全くもってこの状況が理解出来ずにいたけれど、それは香耶殿達も同じらしい。永晋秘書官は「少々失礼いたします」と香耶殿の腕を掴み半ば強引に部屋から出した。


「なっ、ちょっと! これはどういう事よっ!!」

「香耶殿下、退出願います」

「はぁ!? ならなんであの子は!」

「――〝黙れ小娘〟」


 またしても、朧……帝の異能で香耶殿は黙らせられてしまい静かになってしまった。周りの侍女達もだいぶ慌てふためいている様子ではあるけれど、それは永晋秘書官もだった。


「陛下っ! 異能はお使いにならないでくださいっ! お体に……」

「いや、むしろ使って霊力を抜いてしまったほうが楽だ」

「えっ……」


 れ、霊力を抜く……そんな言葉初めて聞いたかもしれない。霊力は使うものであって、身体から抜くものではないような……


「我の異能の餌食になりたくないのならさっさと行け」

「かしこまりましたっ!」

「そいつら全員だ」


 あれよあれよという間に、私達以外部屋から出て扉が閉まり、静かになってしまった。