異世界で監禁された僕は助けてくれた公爵さまからこの上ない寵愛を受けています

「えりあすさん、どうしてないてるの……」

動かない腕を必死に持ち上げて、彼の涙をそっと拭う。
その僕の手を、エリアスさんが優しく握った。

「自分の欲に負けて、トキを傷つけてしまったから……」

「そんなこと、ないですよ」

僕は傷ついてなんかいない。
途中からほとんど覚えていないけれど、ずっと幸せな気持ちでいっぱいだったのは確かだ。心を落ち着かせて、その気持ちを伝えたい。

「僕は、エリアスさんとのあの時間は、すごく幸せでした。今も……こうして、エリアスさんの、匂いに包まれて、幸せですよ」

「トキ……」

エリアスさんの大きな身体に包まれる。
それでも僕を気遣ってくれているのがよくわかる。

「大丈夫。僕は、壊れたりしません。だから、もっと強く抱きしめて……」

そう告げると、エリアスさんがぎゅっと僕を抱きしめる。
身体に辛いところはあるけれど、幸せが遥かにそれを上回る。

「エリアスさん……僕も、エリアスさんを愛してます」

ずっと、言いたかったこの言葉。
愛し合っている間、エリアスさんが何度も僕に言ってくれた。

やっと言えた……

「でも、次は最後まで起きていたいです。エリアスさんと、イチャイチャしながら眠りたいから……」

僕の願いはそれだけ。
エリアスさんは、何度も、何度も頷いた。

「ああ、約束する。トキ……愛してる」

まだ涙を潤ませたまま、僕の唇に約束のキスをしてくれる。
重ねるだけの優しいキス。でも、エリアスさんの気持ちは痛いほど伝わった。

僕は幸せな気持ちのまま、また眠りに落ちていった。

それからしばらくして、僕はゆっくりと目を開ける、
隣にはエリアスさんの大きな身体。
その胸の鼓動が僕のそれと同じように刻んでいて、まるで一つの生命になったみたいに感じる。

「エリアスさん……」

「おはよう。トキ」

昨日の涙はもう乾いたみたい。僕を見つめる眼差しは、優しくてどこか申し訳なさそうでもある。

「おはようございます。エリアスさん」

痛むところはまだあるけれど、それよりも胸の奥が満たされている。
安心と幸福がゆっくり身体に染み渡っていく。

窓の外の光が揺れて、カーテンの影が床に柔らかく落ちる。
外の空気は少し冷たいのに、僕の胸の奥はエリアスさんの温もりであたたかい。
目を閉じて深呼吸をする。
昨日の出来事の全てが今の静かな幸せに繋がっているんだと感じる。

ふと、クラウスさんやロジェリオさんのことを思いだす。
でもきっと僕たちのことを見守ってくれているんだろうと思う。
そのおかげで僕たちは、無事に朝を迎えられたんだ。

「これからもずっと一緒にいたい……」

小さく囁くと、エリアスさんが微笑む。

「私もだ。ずっと一緒にいよう」

抱きしめられたまま目を閉じると、エリアスさんの唇がそっと僕の唇に触れた。
僕は、初めてこの世界に来て良かったと思えた。

僕は心の奥でそっと誓う。

エリアスさんとなら、どんなことでも一緒に乗り越えられる。ずっと幸せでいられるんだ……

エリアスさんに出会えて本当によかった。



   *   *   *

ここで完結となります。
ここまで長くなる予定ではなかったのですが、気づけば十万字を超えていて驚いています。
ここまで読んでくださりありがとうございます!

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